わたしたちの生活を取り巻くプラスチックのはなし
2020年7月1日にスタートした「レジ袋有料化」
2020年7月より、全国のスーパーマーケット・ドラッグストア・コンビニエンスストアなどの生活に密着する事業者が対象となり、レジ袋の有料化が義務付けられました。
マイバッグを持って買い物に行くことが増え、レジ袋を辞退することも多くなったなと感じる方も多いはずです。しかしながら、ゴミを捨てるための袋が枯渇してしまい、結局まっさらなポリ袋を別で買うことになって本末転倒…な経験をした方もいるのではないでしょうか。
そもそも、なぜレジ袋は有料化されることになったのか。
レジ袋有料化は、脱プラスチック・脱石油を背景に、環境保護を目的に実施されたものです。
2018年にG7という先進国の首脳が集まる会議にて採択された「海洋プラスチック憲章」などにより、国際社会全体で脱プラスチック・脱石油に向けて積極的に取り組むことを進めています。その流れにならって実施されたものがレジ袋有料化なのです。
ちなみに有料化されたレジ袋とそうでないレジ袋があるのは、皆さんご存知でしょうか。
【有料化の対象となる袋】 ・プラスチック製の持ち手がある 【有料化の対象にはならない袋】 ・持ち手がない ・厚さ50マイクロメートル以上の袋 ・バイオマス素材の配合率が25%以上の袋 ・海洋生分解性プラスチックの配合率100%の袋
生鮮食品などを入れる持ち手のないビニール袋は有料化の対象ではないのです。しかしながら、将来的に現在対象になっていない袋も環境に配慮した性能を持つものに置き換えるようにという動きになる可能性もあります。
捨てることを前提としない経済活動を行うためのプラスチック新法
2022年4月1日より、プラスチック新法(プラ新法)という法律が始まることによってわたしたちの生活が変わっていくことになります。
プラスチック新法では 3R+Renewable促進を掲げており、3R(Reduce,Reuse,Recycle)に加えて、Renewableに取り組みやすい環境を整えることを目的にしています。どういうことかと言うと、プラスチックについて、単に捨てる量を減らそうではなく、捨てることを前提としない経済活動をしようとしていることが特徴となっています。
Reduce:製品をつくる時に使う資源の量を少なくすることや廃棄物の発生を少なくすること。 Reuse:使用済の製品やその部品などを繰り返し使用すること。 Recycle:廃棄物などを原材料やエネルギー源として有効利用すること。 Renewable:製造に使用する資源を再生プラスチック、再生可能資源などの再生が容易なものに置き換えることで廃棄を前提としないものづくりを行うこと。
プラスチック新法のポイント(定める措置)は5点。
- 環境に配慮したプラスチック製品の設計を国が認定して公表する
- 製造、販売事業者が店頭などでプラスチック製品を資源として自主回収を行う
- 容器包装以外のプラスチック製品の分別、回収、リサイクルを進める仕組みを自治体ベースで行う
- 消費者に無償提供される特定プラスチック製品の使用削減
- オフィス、店舗、工場などのプラスチックごみの排出量の削減、リサイクル
わたしたちの生活に関わってきそうなポイント①:レジでもらえているプラスチックスプーンやフォークが有料になる?
特定プラスチック製品とは、下記の12種類が指定されており、事業者と消費者が協力して削減を求められます。
コンビニエンスストア、スーパーマーケット、飲食店などでは... ・フォーク ・スプーン ・テーブルナイフ ・マドラー ・飲料用ストロー ホテルや旅館などの宿泊施設、温浴施設では... ・ヘアブラシ ・くし ・カミソリ ・歯ブラシ ・シャワーキャップ スーパー、百貨店、クリーニング店などでは... ・ハンガー ・衣類用カバー
木や紙製品への切り替えや有料化、声かけによる提供などの「提供方法の工夫」と「提供する特定プラスチック使用製品の工夫」を取り組むことになります。
例を挙げると、紙や木で作られたスプーンやストローを提供する、飲み物にストローを付けずに必要な場合にだけ声かけしてもらう、宿泊施設では歯ブラシやカミソリを必要な人がフロントに声かけして渡すなどです。
4月1日の法律施行によってすぐに全てのものが有料になるというわけではありません。すでにプラスチック製品の削減に向けた取り組みを行っている店舗や企業もあります。特に宿泊施設はフロント横からアメニティを必要な分だけ持っていくというスタイルは大手チェーンのビジネスホテルにおいてはスタンダードになりつつあります。
そのほかの事業者は順次取り組むかたちになるため、何も言わずに提供されていたプラスチックのスプーンやフォークは必要かどうかの確認が入るようになるはずです。お店によっては有料となる場合もありえます。
消費者としてわたしたちが心がけなければならないことは、使い捨てのプラスチック製品の定用を辞退したり、繰り返し使用できる製品を意識的に使用したりするなどして、プラスチック製品を過剰に使用しないようにすることなのです。
わたしたちの生活に関わってきそうなポイント②:自治体によってはプラスチックに関わるごみの分別方法が変わる可能性がある
家庭から出されるプラスチックごみについても、リサイクル推進の対象となります。
2022年4月以降、各自治体においてプラスチックごみの分別収集が始まることになります。これまでは何も考えずに捨てていたごみも分別すれば資源となるのです。プラスチック製品ひとつにしても、資源として使える・扱えるものなのかどうかという新しい考えや認識をつけていかなければならないのです。
どのような分別方法になるのかは、各自治体によって発表時期も方法も異なりますので、お住まいの地域のお知らせをよく確認しましょう。
プラスチックごみを減らしていくには法律の整備なども必要ですが、使っているのはわたしたちです。捨てることを前提としないという意識の中で生活をしていくことで目の前のものへの捉え方も変わってくるかもしれません。さまざまなものが有料化になっていくという側面を大きく取り上げるのではなく、プラスチックについてなぜこのような議論が起きているかを少しでも気にしてみてはみませんか。
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