「うどん」みたいな見た目なのになぜ「そば」? 桁違いに消費される南国沖縄の麺

COLUMN

20万食。

これが何の数字かわかるだろうか。 これは沖縄で1日に消費される沖縄そばの数だ。換算すると県民 1 人当たり年間で 40 杯以上食べてることになる。 沖縄そばがなぜこれほどまでに地元で愛されるのだろうか。

沖縄では「そば」といえば沖縄そばの事で、本州で食べられている「蕎麦」は「日本そば」や「黒いそば」などと呼ぶ。 地元の人たちは引越しそばや年越しそばももちろん沖縄そばを食べる。近年、本州からの移住者が急増していて日本そば屋さんも見かけるようになったが沖縄そばに比べると人気は薄い。

県民食とも言える沖縄そばの発祥は 14~15 世紀頃に中国から伝わったという説があり、当時は小麦粉が高価だったために宮中料理として親しまれていたようだ。 明治時代に中国人が那覇で支那そば屋を開業したのが始まりで庶民の間でも親しまれるよ うになった。その後、戦争の影響で一時は全てのそば屋が消滅するが小麦粉が出回るよう になるとすぐに復活し、生活のためにとそば屋を始める人も増えて戦前よりも普及した。

沖縄そばを初めて食べた人たちが必ず言うのが「蕎麦っていうよりうどんに近いね」。

それもそうだ。 沖縄そばには蕎麦粉は一切入っておらずうどんと同じ小麦粉がつかわれている。 喉越しがいいわけではなくモチモチしていてしっかりとした噛みごたえがあるのが特徴。

ではなぜそばと呼ばれるようになったのか。 沖縄そばの由来は、中国からきた「支那そば」だと言われている。そのため戦前は「支那そば」「唐人そば」と呼ばれていたが戦後、味がより地元の人の好み(現在の豚骨と鰹ベース)に変わっていくにつれ「沖縄そば」と呼ばれるようになった。

だが 1976 年に事件が起こる。全国生めん類公正取引委員会から、蕎麦粉を使っていない沖縄そばを「そば」と表示するのは規約違反ではないか とクレームをつけられたのだ。それに対し沖縄生麺協同組合は「そば」として県民に親しまれてきた名称を守ろうと活動をしその交渉が成果を結び、昭和53年(1978年)10月17日に「本場沖縄そば」という商標登録が認められた。その日を記念し10月17日は「沖縄そばの日」として制定されている。

沖縄県内で食べられているそばの種類は豊富で、バラ肉の煮付けが乗ってるのが一般的な「沖縄そば」、野菜炒めが乗った「野菜そば」や、スペアリブの煮付けが乗った「ソーキそば」、豚足の煮付けが乗った「てびちそば」、よもぎが乗った「フーチバーそば」など。お弁当屋さんにも100円そばという小さなそばが売っておりお弁当購入者が100円で買えるという場合が多い。

定食屋さんに食べに行っても定食についてくるのは味噌汁ではなく小さなお椀一杯のそば。 スープはほとんどの店が豚骨と鰹だしのブレンドで透き通っておりほんのりと甘みが感じられる味。

私はこのスープが飲みたくて沖縄そばを食べにいくと言っても過言ではないぐらいだ。

老若男女に愛される沖縄そば。お店にある紅ショウガやコーレーグース(島とうがらしを泡盛に浸けた辛味調味料)を足して味変も楽しめるので機会があれば食べてみてほしい。

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