【生ハムが抱えている危機】大手ファミレスチェーンからも姿を消した?イタリア産生ハムが直面している現状とは…
イタリアから豚肉や豚肉加工品の輸入ができない?
みなさんはイタリア産の生ハムが現在輸入できなくなっていることをご存知でしょうか。
2022年1月にイタリアで発生が確認された豚の伝染病のAFS(アフリカ豚熱)が背景として挙げられます。これを受けて、農林水産省はイタリアから日本への豚肉等の一時輸入停止措置を講じました。
イタリアからの豚肉全般、プロシュート・パルマ・サンダニエーレ・コッパ・パンチェッタ・サラミ等を含む豚肉加工品全般の輸入が停止となり、日本にイタリア産の生ハムやサラミなどが輸入できないという異例の事態となっているのです。
特に生ハムは、イタリアからの輸入が全体のおよそ7割を占めたため影響が大きく、輸入一時停止から半年経った現在、在庫が少なくなってきた輸入業者や飲食店などは対応に追われています。
今現在も生ハムを提供している商店や飲食店は、輸入が停止される前に仕入れた生ハムを提供していますが、春以降は新たな仕入れが難しくなっており、在庫は徐々に少なくなってきているといいます。
また、この影響は大手チェーンファミレスにも及んでいます。
大手チェーンファミレスの「サイゼリヤ」は、「熟成ミラノサラミ」と「プロシュート」などが在庫がなくなり次第、販売を終了する予定としています。
この異例の事態の背景とは…
イタリア産の生ハムの輸入停止の背景にあるのは、豚やいのししの伝染病、ASF(アフリカ豚熱)です。
ASFは日本では発生が確認されていません。これまでアフリカやヨーロッパのほか、アジアでも発生が確認されています。
人には感染しないものの、豚やいのししが感染すると致死率はほぼ100%とされています。また、有効な治療法やワクチンがないということで、感染拡大を防ぐためには殺処分以外の手立てがなく、国内で発生した場合は畜産業に大きな打撃となることが懸念されています。
ASFの発生が確認されたイタリアが感染をゼロに抑える「清浄化」を宣言した上で、日本政府の現地調査や専門家による審査などを経て認められなければ現状ではイタリアからの輸入が再開されないのです。
しかしながら、輸入停止の措置が解除される見通しは今のところ立っていないということで、影響は長期化する可能性が出ています。少なくとも数年はイタリアからの生ハム等の輸入再開は難しいのではないかという声もあります。
では、わたしたちはもう生ハムが食べられなくなるのでしょうか。
イタリア原産の生ハムは日本国内にある在庫がなくなり次第、姿を消していくことが予想されますが、生ハムはスペイン産、フランス産もあるため生ハムが食べられなくなるということはないでしょう。イタリア産と比べると生産数が少ないため貴重な存在かもしれません。これを機にスペイン産、フランス産の生ハムが今以上に知られるきっかけになることも考えられます。
特定の生産地でしか作られない食品は、今回のような伝染病等の感染症や気象変動などの影響によって生産量が左右されます。土地の環境が変動したり種が根絶したりして今後生産できなくなる可能性があるのです。
生ハムに限らず、みなさんの好きな食べ物が今後手に入らなくなるのは悲しい知らせになると思います。スーパーマーケットや食品店で食品を手に取る際は、どの国や地域で作られているかを意識してラベルの書品表示を見てみてください。
国産であっても、昨今の大雨や熱波による気象災害が起因して今まで作れていたものが作れなくなることもあります。身の回りにある食品を改めて見つめるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
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