タトゥーと日帰り入浴施設の関係性 アフターコロナでインバウンドを受け入れるためには…

COLUMN

先日、白馬岩岳スノーフィールドで西蒲区の観光PRを行った際にパンフレットを受け取ったスノーボード客からこのような質問があった。

「ここの日帰り温泉はタトゥーが入っていても入れますか?」

日本の日帰り温泉施設はタトゥーがあると利用できない施設も少なくない。近年では若者のタトゥーに対する偏見が薄れ、ファッションの一部として捉えている人もいる。

タトゥーが入っていることで日帰り入浴施設を利用できないのは、日本人だけではない。海外ではタトゥーはファッションの一部だ。外国人観光客のいる場所で観察すると半数ほどが腕や首など見えるところにタトゥーを入れている。もちろんタトゥーシールや数日経つと消えるタイプのものを使っている場合もあるが、海外では日本ほどタトゥーに偏見がないため、入れている人は多いだろう。

今後、新型コロナウイルスが収束し、インバウンドが再び日本を訪れたとき、日帰り温泉施設がインバウンドを獲得していくためにどのように柔軟に対応していくかが求められる。

日本人のタトゥーに対する考え方

日本ではタトゥーに対してどのような考えを持っている人が多いのだろうか。

2021年に日本トレンドサーチが行った調査では、タトゥーを入れている人は3%、タトゥーを入れたいと思っている人は3.1%とごくわずかだった。日本ではまだ、タトゥーに対して抵抗がある人が多いようだ。更に、お店などで接客をする従業員がタトゥーを入れていた場合どのように思うかというアンケートの回答では、54.8%の人が「良くないと思う」と回答した。

しかし、これを年代別にみていくと違った見方ができる。お店などで、接客をする従業員がタトゥーを入れていた場合どのように思うかに対して、「よくないと思う」と回答した割合が年代が下がるにつれて減っている。20代で「よくないと思う」と回答した人は70代の半分以下だ。若い年代ほどタトゥーに対しての抵抗がなく、受け入れている人も多いようだ。
また冒頭でも取り上げたタトゥーをしていることで日帰り温泉施設などの利用が制限されたり、保険に入りづらいなど規制も多い。タトゥーについて今後、規制が緩和してもっと一般的なものにしていくべきだというアンケートの回答でも20代の方が高い年代に比べて「緩和していくべき」という回答が多かった。この結果を見ると、今後タトゥーはより日本人にとっても身近なファッションの一部になっていくかもしれない。

入浴施設のタトゥーに対する対応は?

2015年に観光庁が行った調査では、タトゥーがある人に対する入浴の可否は「お断りをしている」が55.9%と半数以上だった。お断りをしている理由としは、風紀・衛生面が半数以上で、日本におけるタトゥーのイメージがここにも影響を与えているように思える。実際にお断りのポスターや立て看板を入り口で目にしたことがある人も多いだろう。このデータは2015年のデータのため、現在はもう少し緩和されている可能性もあるが、まだまたタトゥーがある人への抵抗があることも事実だろう。

今後、インバウンドが戻ってきたときのために・・・

アフターコロナが訪れ、インバウンドが戻ってきたときにどのようにして、対応していけばよいのだろうか。一つは国内の既存客と国内外の新規の顧客と折り合いをつけて行くかが課題になってくる。既存客の中には上記のアンケート結果のようにタトゥーに抵抗のあるは少なからずいる。かと言って、お断りを続けていては、国内外の新規顧客を獲得していくことはできない。

現在、取ることができる対策として最も汎用性が高いのは、肌色のテーピングやシールで隠してしまう事だろう。実際に、テーピングやシールで隠してしまえば利用できる施設もある。また、観光庁でも施設に呼びかけ、対応改善を促している。他にも、温泉付き個室や貸切風呂の利用などの対応もできる。

タトゥーのある利用者が利用した施設でタトゥーがあっても大丈夫なのか調べるすべも多くはない。実際に、そういった利用者が困らないようにと作成されたサイトもある。

Tattoo-Friendly
https://tattoo-friendly.jp/ja/

こちらのサイトはタトゥーがある人でも利用できる、温泉施設やジム・プール、海水浴場を調べることができる。利用できる条件なども記載されているため、ぜひ一度見てもらいたい。

タトゥーがあるという理由だけで、施設利用に制限がかかることは非常に残念でならない。施設側も機械損失をしてしまうデメリットは少なくないだろう。国内外のタトゥーのある利用者が多くの施設を利用できる将来が近いうちに訪れることを願いたい。

参照・出典資料

日本トレンドサーチ 【タトゥーもファッションの一部?】20代以下の約6割が「規制を緩和すべき」と回答

https://trend-research.jp/7933/

観光庁 入れ墨(タトゥー)がある方に対する入浴可否のアンケート結果について

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