パークのない街から”生まれない”もの ―インタビュー・富永快 新潟市スケートボード普及協会会長―
政令指定都市として北陸の盟主たる新潟市だが、実はまだ”まともな”スケートボードパークがない。昨年9月、新潟におけるスケートボードパーク建設の期成を目指して発足した「新潟市スケートボード普及協会」(会長・富永快)では同月に市内万代島で関東からプロのライダーを呼んでイベントを開催し、地元のスケーターからも大きな反響を実感したという。この街に「パークがない」という現実、その穴はカルチャー醸成にとってとてつもなく大きいのだという。
3月某日、新潟市中央区のスケートボードショップ「sngw-shop(しながわ商店)」に富永さんを訪ねました。富永さんは同店の店長であり、元プロスノーボーダーでもあります。そして昨年発足した新潟市スケートボード普及協会の会長を務めています。
INTERVIEW
ー協会を発足するに至ったのはどういう想いから?
富永さん(以下敬称略) 僕は魚沼市の出身で、高校卒業した2年後、ちょうど二十歳になる頃に新潟に出てきました。小さいころからスケボーに乗っていて、地元の先輩たちが尽力して南魚沼にパークができたところも目の当たりにしています。いろいろな世代のスケーターたちが集まって交流し、その場所で学ぶことは本当に多かった。だから新潟に来てまともなパークがないと知ったときはとても残念に思いました。これではコミュニティが生まれないと。
パークがあることで世代間の交流が生まれ、若い子たちは「大人」から、スケボーの技術だけでなく社会そのものを学んでいく。これとても大事なことなのです。
五輪を契機に一般の人たちのスケボーに対する見方もかなり変わってきたと思いますが、まだスケボーを「不良がやるもの」と思っている人もいます。自分たちがかっこいいと思うカルチャーへの自己表現としてファッションや自分だけの技、トリックなど追求する姿が、そう見えるのかもしれませんが実際はそんなこと(不良がやるもの)はないですよね。それはパークという「場所」が人間としても育ててくれるから。だから間違った方向にいかない。そのためにも若い子、これからの世代に「場所」をあげたい。僕らが先輩たちからしてきたもらったように。
新潟市の若い子たちに滑る場所と交流が生まれる場所を提供してあげたい。そんな想いから協会を立ち上げました。
―新潟市のスケートボードを取り巻く現状は?
富永 潜在的なスケボー人口は多いです。ただ滑る場所がないから結局はストリートで。ひとつ「海浜スケートボードパーク」というのがあるにはあるのですが、あまりにもコンセプトが古いパークで、セクションや路面の粗悪さを考えてもパークと呼べるかどうか(笑)。
僕の慣れ親しんだ南魚沼もそうですが、すでに新潟県の主要地域はそれぞれパークを持っていますから、それを考えると新潟市はかなり遅れていると言わざるを得ません。まともなパークがないとプロを呼んでイベントや競技会を開くこともできないので地元の子たちは一流の技に触れられない。またスキルアップにはコミュニティでの交流や会話が大きな意味を持ちますから、コミュニティがない現状ではそれも望めない。だからスキルは残念ながら他よりかなり低いと思います。自分の身内、仲間内だけで適当にその辺で滑っているとあまりうまくならない、スケボーにはそういうところがあるのです。
ースケートボードパーク建設で観光資源化による経済波及効果も?
富永 スケートボードが本当に好きな人の中には、よそのいろんなところのパークに行って滑りたい人が多いです。同じ種類のセクションでも微妙な角度が違ったり、そういうのが楽しいのです。そういうことをSNSなどで発信している人も多いです。
今、国内で一番大きなパークは茨城県笠間市のものだと思いますが、ここには全国からスケーターが集まっています。それこそ九州からワンボックスカーで全国のパークをめぐっている人などもいますから。スケボーが好きな人はよその場所に行って滑りたいもの。そういう意味ではこの規模の都市に良いパークが整備されれば注目度は高いと思います。
もっとも単純な経済波及効果より、この規模の街にまともなパークがないこと自体が残念過ぎるのでね。
―新潟市スケートボード普及協会として今後の活動は?
富永 ようやく今、県が建設に動き出しています。議会で新年度予算への盛り込みが承認されればGOという段階です。初心者から中級者に向けたセクションの難易度を目指すということで、これはとても良いと思います。大きな一歩ではありますが、やっぱり大事なのはパークの内容ですから、協会としてもどんどん意見していきたいと思いますし、そのために関係各位ともコミュニケーションを取らせていただいてます。
あとはやはり県だけでなく、新潟市にも頑張ってひとつつくっていただきたい。やはり話はさせてもらっています。そうした機運を盛り上げるためにも、プロのライダーを呼んだイベントなどはどんどん打っていきたいと思います。
文責:伊藤 直樹
新潟市スケートボード普及協会
新潟市スケートボード普及協会は、2021年の協会設立より新潟市にてスケートボードパーク建設に向けた活動を継続して行っており、スケートボードイベント「MAKE PLAY GROUND」開催しています。
また、新潟県から2022年度に鳥屋野潟エリアにスケートボードを楽しむための場所を整備することが発表され、2022年3月に新潟県土木部の担当者の方々との意見交換を行いました。
新潟市スケートボード普及協会は、鳥屋野潟エリアのスケートボードパーク整備に向けての新潟県土木部の方々との意見交換を継続して行っています。そして、スケートボードイベント「MAKE PLAY GROUND」を2022年も引き続き開催することを目指しており、詳細は改めて発表されます。
新潟県や燕市においてスケートボードパークの整備計画が発表されていることを受けて、「新潟市スケートボード普及協会」は新潟を取り巻くスケートボード界隈の現状と昨年の設立から続けているスケートボードパーク設置に向けての活動について取材されました。こちらも併せてご覧ください。
新潟市スケートボード普及協会へのお問合せ先
新潟県にて整備が進んでおりますが、さまざまなかたちのスケートボードパークがあるべきだと新潟市スケートボード普及協会は考え、引き続き署名活動を継続しております。興味を持った方は、お問い合わせください。
sngw shop(しながわ商店) 担当: 富永(新潟市スケートボード普及協会 会長) Mail: makeplayground.2021@gmail.com 富永宛のメール問合せはこちらから 住所: 950-0082 新潟市中央区東万代町6-10 googlemap TEL: 025-311-0425 URL: https://shinagawashop.com/ Instagram:https://www.instagram.com/sngwshop/
株式会社R.F.E 担当: 元村(新潟市スケートボード普及協会 副会長) Mail: r.f.e.company2011@gmail.com 元村宛のメール問合せはこちらから 住所: 950-0073 新潟市中央区日の出3丁目6-12 TEL: 025-384-4463 URL: https://www.rfe-company-nagano.com Instagram:https://www.instagram.com/lagoon_cola/
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